1巻マンガ『FLIP-FLAP』のススメ
文章書く訓練のために、僕のおすすめの1巻完結漫画を紹介します。
こちらの漫画は1巻漫画愛好家の中では有名で、超ゲームウォーカーでも詳しく紹介されています。
あらすじは、特徴のない「フツー」の主人公深町くんが、高校最後の日にあこがれの山田さんに告白します。
山田さんは付き合うために一つ条件を出します。それは、大好きなピンボールの台でハイスコアを超えること。
山田さんやゲーセンの仲間たちと共に、ピンボールの玉よりも激しい青春を繰り広げます。
というものです。
この漫画の特徴と言えば何といってもピンボールです。
おそらく誰もがピンボールという題材に困惑するでしょう。
僕らの世代でピンボールと言えば、WindowsXPのアクセサリとポケモンピンボールくらいしか馴染みがありません。
実際に筐体を触ったことがある人の方が少ないでしょう。
しかし心配はありません。
何故ならこの漫画を読めば必ず、やったことないはずのピンボールをやった気分になります。
アクション漫画のような大胆な構図
レース漫画のような迫力ある効果音
そして、宇宙の中を駆け回るようなボールの演出
どれをとっても非常に斬新かつ革新的で、何もかも忘れて没頭してしまいます。
ちなみに、ピンボールについて、ルールや歴史等の解説があるのでその辺も心配ご無用です。
登場人物もとてもいいです。
主人公やヒロインを始め、めちゃくちゃカワイイ!カッコイイ!
……という訳ではないですが、なんというか全体的に愛嬌があって憎めない感じです。
人数も多くなく、かと言って一人一人にフォーカスを当てるわけでもなく。必要十分を満たしてくれます。
ストーリーも申し分ない完成度です。
話数としては4話+読み切り1話ですが、それぞれ起承転結がはっきりしており、濃密なストーリーを大変読みやすくしています。
文字が多いわけでも、ページ数があるわけでもないのに、読み応えがある不思議な作品です。
青春ものということで読後感も爽やかで、すぐにではなく日を空けて何度でも読みたいと思わせてくれます。
また、最近の漫画にありがちな、いざピンボールをやってみると、実は主人公にはとんでもない集中力があって……などということもないです。
最初は気になるあの子を振り向かせるためですが、練習するにつれ主人公もちょっとずつ上手くなり、どんどんピンボールにハマっていきます。
物語の初めで、さえない告白をしていた主人公がラストのワンゲームで純粋にピンボールを楽しむ姿は、とっても魅力的です。
動機や周囲の評価、自分へのしがらみをすべて忘れるほど何かに打ち込むことの素晴らしさ、大切さを感じました。
終わり良ければ全て良し、というようにどんな長寿連載でも大円満で作品が終わると名作と呼ばれます。
ただ、「もっと続きが読みたい」「もっとキャラクターを堀さげてほしい」と思うのも我々読者の性です。
「お代わりちょうだい!!」ではなく心を込めて「ごちそうさまでした」と言える。
そんな魅力が『FLIP-FLAP』には詰まっています。
このページを最後まで読んだなら、ぜひ手に取って読んでいただきたらと思います。
おわり